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zoom RSS YAMAHA YAS-82ZB

<<   作成日時 : 2006/11/20 15:31   >>

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最近ではすっかり"「KK.Jam」の"人になってしまった感のある、勝田一樹氏は、どうも最近手持ちの楽器が黒いらしい。で、多分これだろうなぁ、と思いつつ、試奏の機会を得た。

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*この記事の内容はあくまで個人の感想のレベルであって、特定の企業、製品について、なんら恣意的なものは含まない事をくれぐれも御承知置き頂きたいし、読者に内容を強制するものではありません。
また楽器の製品の性格上、個体差があると云う前提に基づき、実際の購入に関してはあくまで読者自身の判断によるものとし、このblogの管理人、協力店、記事内容、およびbiglobeは何の責任も負わないものと致します。
以上を御理解頂けた方のみ、ここから先の記述をお読み下さい。
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YAS-82Zは発表間もない時期に試奏する機会を得た。
織田氏が実際に使っておられるプロトタイプと、市販タイプとを交互に吹かせて戴いた。

良くも悪くも、YAS-82Zは"プレーン"だ。
無味無臭、と云うと聞こえは悪いが、何の気無しに吹いたのでは凡百の楽器と大差無い様に感じる事は多いだろう。
定番モデルの62同様非常に吹き易い、ただそれだけが目立ってしまうのではなかろうか。

しかしひとたび巧いプレイヤーにあたると、その強烈なポテンシャルが牙をむく。
"プレーン"なもの程、プレイヤーの個性が色濃く出るものだ。
国内外を問わず、これまで所謂オールドものを吹いて来たプレイヤーが、サブ楽器として、あるいはメイン楽器として82Zを手にしているケースは少なくないようだ。

息の通りの良いネック、テーパーが若干広めな、"ホーン"っぽいニュアンスがするボディ、かつてのカスタムモデルYAS-855の色を残しつつ、よりリファインされた形でリリースされたのが、もう3年程前の話だろうか。

当初はアンラッカーモデルが非常に話題になったが、今回試奏させて戴いたものは輸出使用のブラックラッカー仕様。
キーメカニズムやカップなどはゴールドラッカーなので、一時のKEILWERTHの様に"仏壇"っぽい。
ルックスに惑わされないよう、慎重に音を出して行った。
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まずはその"抵抗感"。

ラッカーが厚めなのだろう、通常の82Zよりも吹き心地が"重め"だ。
派手にギラギラとした音にはならず、非常にシックな鳴りかたをした。
ダーク、と云うのとは又ちょっと違う。
あくまでシックな、かなり渋めの抵抗感強めな印象。かなり乱暴に吹いても暴れはしないだろう。
Lambersonで吹いた際には、かなりアーシーな、ザラザラしたニュアンスも出て、古めの楽器とも混ざり方は良いのだろう、とも思った。

低域が重過ぎない、これも82Zの特徴の一つだろうが、この部分もしっかり持ちつつ、バランスの良い鳴り方をした。これも非常に好印象。
実際E、D、Cあたりでは"鳴り方が軽いなぁ"と思ったものの、実際出ている音が薄い訳では無いのだ。
全てのキーを閉じたBbでは、管全体がとても気持ち良く鳴っている。
個人的にはヘヴィーな音色が好みではあるが、この82Zの場合はちょと違う。
むしろこれで良い。


音が重過ぎない、音に色が付き過ぎない、前述の通り、実はプレイヤーにとっては非常に高いハードルとなる。

そもそも楽器を選ぶ場合、ポイントは「その楽器の持っている音、吹き心地とプレイヤーが求めている音、演奏感をどう融合させるか」だと思う。
例えばSelmerあたりであれば、楽器が持っているサウンドの位置づけが最初に来るだろう。
実際かなりパワーを入れても楽器がしっかり持ち堪えてくれる為、若いプレイヤーなどが思いっきり吹いてもそれなりに鳴ってくれる。

ところが、生半可な吹き方では楽器の持ち味が出せない。ただパワーに任せていては、管自体は振動しても、管の中にある"気柱"をきちんと鳴らす事が出来ない。
又、管の持っている音を超えて、あるいはプレイヤーがその性格を"取り込んで"、自ら求める方向へ持っていこうとする場合、管そのものに"色"が付き過ぎていると、ともすると"足かせ"のように重い要素になってしまう。
反対に管そのものの性格が非常にプレーンである場合、これはほぼプレイヤーの責任でサウンドを作り上げていく事になる。

しかしこの作業、半端では無い。

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YAMAHAさんの巧妙な宣伝戦略によって、"82Zはジャズ向け"、とされて久しい。
しかしながら、そもそもその"プレーン"な性格は、実際の処演奏されるフィールドを選ばないはずだ。

確かに875EXとは管体のテーパーとキーアクションなど設計が違うので、そのサウンドを同列に並べるのはちと厳しい場合があるが、例えば幅広い演奏スタイルを(本来は)要求される吹奏楽方面などでは正に最適な楽器ではなかろうか?

あくまで推測だが、YAS-82Zの母体はかつてのカスタムモデルYAS-855ではないか、と思う。
855と875、共にカスタムモデルとして制作されたが、当時超有名プレイヤーが試作品をブラインドテストした処、真っ向から意見が分かれた、と云う話を聞いた事がある。

結局"クラシック向け"という宣伝がなされた(実際テーパーの広がりが狭いので、より木管的なサウンドがする)875がメインとされ、855は非常に不遇な生涯を終えた。
テーパーの広がりが狭い方が、サウンドをまとめ易い傾向はあるらしいものの、バリエーション豊かな表現においては幾分フットワークが重くなる。
反面テーパーの広がりが広い855や82Zなどは(それでもネックはSelmerのそれより随分太めだが)ホーンっぽい明るめのサウンドが、時として"まじり辛い"場合もあろうが、守備範囲の広さやレスポンスの良さと云う点では分がある。

82Zの方がより軽い作りになっていると思うので、出てくる音も良い意味で軽い訳だが、そこを"重厚さに欠ける"と取られると、82Zは一生掛かっても"本道"とされる方面には受け入れられ辛いだろう。
しかし、もしマルセル・ミュール氏が存命だったならば、おそらく82Zの吹奏感、サウンド、レスポンスを絶賛したのではあるまいか?
ぶっちゃけ82ZのテーパーはかのMarkVIに非常に良く似ている、と聞く。


要するにプレイヤーの出したい音が出る楽器、それがその人にとって一番便利な楽器になる訳だが、より守備範囲を広く持ちたい場合、プレイヤーへの追従性を云々すれば、複数の楽器を吹き分けるのが一番てっとり早い。
しかしながら、プレイヤーサイドでも吹き分ける技術も持たなくてはいけない。

その折衷案としての存在、オールパーパスな楽器として、もっと82Zは評価されて良いのではないだろうか?



*試奏時データ:
Lamberson 6M + Harrison Harts Ligerture GP + WOODSTONE Lead #3.1/2
H.Selmer S80-C☆ + Vandoren Masters Lacquer Ligerture + Vandoren V16#3.1/2

■試奏協力:ヤマハミュージック関東 新潟店

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも楽しく読ませて頂いております。
自分も今、YAS-82ZULを使用しているのですが、その鳴りやピッチ等には大変満足しています。もっと、この楽器のポテンシャルを引き出せれば…と思っておりますが、文中にある「"気柱"をきちんと鳴らす」とはどういったことなのでしょうか?
akira
2006/11/30 13:31
>>akiraさん
いらっしゃませ。毎度ごひいきに預かり、また今回はコメントありがとうございます。
お訪ねの件ですが、要するに力任せにゴリゴリ吹く、のでは無く、アンブシュア、シラブルなどでの音作りを活かした上で、丁寧なブレスコントロールを心がけ、楽器を振動させる、のでは無く、管を鳴らす、感覚を持って、と云う意味合いなんですが…。
中々言葉では難しいですね(ここのコメント欄は字数制限があるもので…)。
メールでも頂戴出来れば、折り返しレス入れさせて戴きます。
トップページからどうぞ。
D-O
2006/12/01 01:48
現在YAS-62(2007年製)を所有しJAZZSAXを習っていますが、どうしても82Z に興味があります(セルマーも高いですが憧れもあります)。特に鳴りが良いといわれるULモデル・F無しモデルに興味深深です。そもそも82Zの素材などもフランスの輸入品であり、62以下のモデルとは異質のサウンド・しかし一方で固体差もある…ULモデルは手入れが大変などなど…実際82Zとはどんな SAXなのでしょうか?どうぞご教授ください…宜しくお願いいたします。思いはULモデルをバリバリ鳴らしてみたい…?! です。
GATTと申します…
2008/07/28 23:34
>>GATTさん
コメントありがとうございました。

実際の処はご自身で楽器屋さんに足を運ばれた後、心行くまで試奏なさるのが最高の判断材料と思いますが…。
(確かにアンラッカーモデルは在庫があっても試奏が出来なかったりはするかも知れませんけれども)

全くの個人的な意見ですが、82zと云う管は大好きです。
その辺りは本文にも盛り込んでおります。
本文中では"855がベースでは…"と書きましたが、そもそものベースは、かつての"62II"なんだ、と耳にした事があります。
ここは定かではありませんので、念の為。

通常のラッカー仕様のものの場合、現行62と比較した際には、音の中にキラキラした成分が多いなぁ、と感じました。
この辺は材の影響が大きいのでは、と思います。
クラシカルな事もやり、ポップスもやり、と云う吹奏楽には最高だと思いますね。非常にニュートラルな性格だと思いますよ。
D-O
2008/07/28 23:51
>続き
ULはやはりすぐ変色しそうですね。
音は遠くまでは飛びません。
特に音色がダークになる、と云う事もないように思いますが、確かに通常のラッカー仕様よりはキラキラ成分が少ないですし、響きの成分が無くなりますから、そこを"ダーク"と云えなくもないかも知れません。

例えばヴィンテージ風かどうか、と云う処では、以前所有していたMarkVIとは勿論別モノですし、サウンドのこなれ方からして違いますし。
但し音程は素晴らしく良いですし、メカニカルな部分のアドヴァンテージはやはり現代の楽器でしか得られないものでしょうから。

レスポンスは意外に硬く感じました(試奏したのが何せ新しい個体でしたからね)。
縁があれば今後手にしてみたい、とも思います。事実、Cannonballを入手する前には、購入候補の筆頭でしたし。

石森管楽器さんのスペシャルチューン"82zWS"は非常に評判が良いようですね。"素材"として、そもそも82Zが優れている、と云う事でもあるでしょう。

まずは御自分で試奏なさってみてはいかがでしょう?
D-O
2008/07/28 23:59
D-Oさん…いろいろとアドバイスありがとうございました。とかく自分のような質問に対しては“自分でその音は確かめるべき!”的なコメントが多く、対して自分のような素人からすれば、主観でいいからその感じ・感覚を教えて欲しい(自分の選択に賛同を得たい)という事が本音でした。
そんな中D-Oさんへのご質問…本当に懇切丁寧なコメントありがとうございました。例えば…D-Oさんのキャノンボール君の溺愛ぶりには、あらゆる楽器屋さんの広告にも勝る訴求力があって“Cannonballを入手する前には、購入候補の筆頭でしたし…”の一節を呼んだりすると82Zへの希望に震度6の烈震(被害地の方に失礼)がおきたほどです。ますますこのページを参考にさせていただき、大好きなSAXライフを楽しんでいきたいと思いました。ありがとうございました!!
GATTです…
2008/07/29 22:22

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