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zoom RSS ★Prima Yanagisawa A-9937PGP

<<   作成日時 : 2005/06/06 11:30   >>

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夢に迄見る、と云うのは本当にある。

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このエントリーは公開から3年以上経過していますが、アーカイブ化までの間現状のまま公開致しております。
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飲み仲間として親しくさせて戴いている大学教授は「モルトソサエティー」の会員だ。

モルトウィスキーに関して非常に真摯に向き合い、嗜好と研究の狭間で論文を発表し、それが認められなければ入会出来ない、と云う世界的な権威のある愛好会なのだが、その彼をして「夢に迄見る」と云わしめるウィスキーが何本かある。

彼程味が判る訳では無いのだが、やはり未だに忘れられない味のものも少なく無い。

`60年代前期のグレンリベット17年(非常に特徴的な細く高いボトル)…確か17年だったと思うが…飲んだ途端、薄曇りの静けさの中、深い緑の中に立つ石造りの大きな家の、その窓からヴァイオリンの音が僅かに聴こえてくる、そんな風景が目に浮かんで来た。

`63年のMORISSONのボゥモアは口にした瞬間、塩気を若干含んだその絶妙な香りと味が、ボゥモアの良い歴史や職人の思い、アイラ島の空気を一気に膨らませる勢いを感じ、涙が出て来た(「レモンハート」のマスターみたいだ)。
ポート・エレン「サイレント・スティル」の寂寥感溢れる重く、甘い香り。
クライネリッシュ「クーパーズ・チョイス」の64°の衝撃。
ロング・ロォ、`65年のベン・ネビス、`48年のマカラン、`60年前半迄のラフロイグ等枚挙に暇が無いのだが、味にせよ風景にせよ、勿論人にせよ、素晴らしい出会いは人生を変え、豊かにしてくれる。
(場合によって財布が極端に痩せて行くが、余りにそれを云い過ぎるのは不粋だ)

ミュージシャンにとっては、それが、楽器との出会いであれば、最高と云えるのではないか。


最初にYanagisawaの"シルバーソニック"を吹いたのは、もう大分前の話になる。

"楽器フェア"で試作の段階のものを見せて頂き、少しだけ吹かせて貰ったが、非常に抵抗感が強かったものの、低音域での重く太い鳴りはそれまでに経験した事がなかった。

楽器を吹いて床が鳴るのを経験したのは今の処これだけだ。

以来数年の間に、非常に良い出逢いをした楽器が幾つかあって、その中で実際に入手出来たものは2本だけだったが、入手が適わなかった中で1本強烈な印象が残っているものがある。

Prima Yanagisawa A-9937PGPだ。



先日上京した際に、新宿の"クロッシュ"へお邪魔させて戴いた。以前の仕事の関係で紹介して貰ったが、中々出向く機会が無くようやく5年越しでの訪問が実現した。

朝から音大生、プロプレイヤーの皆さんで文字通りごったがえしていたが(だから事前の予約が必要なのだ!! 飛び込みで行ってはいけない)そんな中で楽器を見せて頂いた。

A-9937PGPだ。

一昨年の"楽器フェア"で既に一度試奏させて戴いたのだが、その記憶の確認をしたかったのだ。比較の為一緒にA-9937も見せて戴いた。

現在自分はCannonballをメインに使っているが、これは今の自分に必要な音を持っているからで、今後も使い続けて行きたい。
これがある限りはいかなSelmerでもYAMAHAでも、KEILWERTH"SHADOW"であっても、"自分の音"を出せると云う点においてはこの楽器以外にはあり得ないとまで思う。
(…でもSHADOWにはちょっと揺らぐ:w)

しかし、明らかに違うのだ。このA-9937PGPは。

今求め得る最高のものを持っている、と云っても過言では無い。

正に"夢に見る"逸品である。家にPrima Yanagisawaのカタログが何冊あるか知れない。
アルトに関しては現在唯一の憧れの1本だ。

そう、Cannonballは粗い目のカンバスにくっきりと黒を残す、太いチャコールの様な感じだ。その音作りはデッサンから自分の色を積み上げて行く感覚に近い。
バスキアの豪快さ、ゴーギャンの明るさ、ウォーホルの力強さ、ロートレックの渋さがある。

一方A9937PGPは水彩の深みと油彩の力強さを兼ね備える。とにかく深くて強くて美しいのだ。
モネの深み、クリムトの緻密さ、ラファエロの陰影、ロックウェルの軽やかさと鮮やかさと暖かみ、いやもう例えが浮かばない程凄い。

コンパクトなボディは扱い易い事この上無い(普段Cannonballを吹いていると、ここの実感が半端では無い)。
ピンクゴールドプレートの効果は恐るべきもので、A-9937と比べても、パレットの色数が増えた印象だ。
タイトかつブリリアントなサウンドはそのままに、鮮やかさと絶妙のしっとり感が足される。

何より吹いていると、楽器が手を引いてくれるような感覚に陥る。間違い無く吹いているプレイヤーを高みに連れて行ってくれる。
正直楽器の持つ音だけであれば最高のものだろう。これ1本でお腹いっぱい。

こりゃあもうどっちが良いなんて野暮な事は云えない。

7桁にも及ぶ(!!)価格の事は敢えて云うまい。これはこう云う楽器なのだ。JAGUARが高いのと一緒。
それでもフルートやヴァイオリンと比べれば、遥かに安い買い物なのだが。

かつて師事した師承の持つフルートの頭部管1本で、このA9937PGPが軽く2本買えてしまう。
良かった。サックス吹きで。

勿論好き嫌いはある。自分は諸手を挙げて、誰はばかる事無く好きだ、と云える程の楽器だ。
やはり、いずれは手にしたい1本だ、と云う結論しか出て来ない。


良いモルトは今、非常に少なくなって来ている。それに極端に高価になっているので、おいそれと口にする事は出来ない。
また土壌や水質、麦の品種の問題、樽の供給、設備、生産体制などおよそ"良い時代"からは掛け離れたものになっている。

申し訳ないが現在、大手酒造メーカーが資本に入った類いの蒸留所のものは飲めたものでは無い。経営の安定と生産の実情が未だアンバランスなのが味に出ている気がする。
非常に残念な事なのだが、今作られているものが数十年後に素晴らしい出来になっている事を心から願う。

しかし、サックスは別だ。今が一番、味わうのには面白い。

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★対決!P.Yanagisawa VS Cannonball(前編
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2010/06/15 09:07

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