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zoom RSS ★Bobby Dukoff Dシリーズ

<<   作成日時 : 2005/05/14 09:43   >>

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突然だが"いきなりDukoff"で挫折なさったアマチュアの方々はどれ程おられるだろうか?

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このエントリーは公開から3年以上経過していますが、アーカイブ化までの間現状のまま公開致しております。
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大概サックス教室の先生が初心者の生徒に奨めるマウスピースの大半はMeyerかSelmerだろう。
少し派手めのものでもCloud Lakey(最近は個体差が大きくて選定が大変の様だが)止まりで、生徒からDukoffが欲しい!と相談されたらまず間違い無くやんわり説得に入る事になるだろう。
しかもサックス始めて2、3ヵ月程度の場合なら、ほぼ100%に近い率で止めるだろう。
しかし生徒本人の思いを大事にしよう、と云う事で、ピーピーガーガー云いながら指もおぼつかない中で、相当数のレッスンが行われた事だろう。
おそらく今から20年程前はこう云う生徒が本当に多く、苦労したのだろうと、最近師承に同情する様になった。
その頃はMALTA氏、THE SQUARE、そしてデヴィッド・サンボーン氏、とDukoffサウンドの立役者が席巻していた時代だからだ。
私がスクールに通い始めた13〜4年前ですら他のクラスの生徒さんの中にもDukoff吹きの方はいらして、その方は「キャンディ・ダルファーなんスよ!」と照れながらキーキー云いたがるDukoffを必死に押さえ込もうと頑張っておられた。
実際、習っていて上達しなければ面白く無い、から余りにピーピーガーガーでは吹いていてもつまらない。かと云って今更Meyerには戻れない、と云う思い入れもある。
結果、仕事のスケジュールもあってスクールを離れて、一人河原でブギョー!ピー!とうなるDukoffユーザーは、どうだろう、実は相当数おられるのではないだろうか?
自分は幸運にもDukoffとどうにか巧くやらせてもらっているが、未だそのポテンシャルを充分には使えていない。日々精進だ。

サックスプレイヤーの間でDukoffと云えば、テナーなら初期のマイケル・ブレッカー氏、アルトなら云わずと知れたデヴィッド・サンボーン氏、キャンディ・ダルファー氏、伊東たけし氏と云った"吠え系"サックスのサウンドの代名詞になっている。
アルト時代超ハイテクニックでならしたアンディ・スニッツァー氏なども多分Dukoffだったのだろう。
そうそう、あの"ソープドラマ系サックス"のケニーG氏もDukoffだ。
実際あの特徴的なヒステリックなファズトーンはその後のサックスの歴史を塗り替えてしまう事になったし、非常にピーキーで、かつ"アーバン"で"クリスタル"な(死語)メタリックサウンドはロック/ポップスなど一時の商業音楽のサックスサウンドを染めまくった。
(要するにちゃかついたギラギラした音でブギョブギョやってる処にディレイがガンガン掛かってる感じ:笑)
ストイックなストレートアヘッドのJAZZシーンからは敬遠される所以でもある。

おおよそサンボーン氏、ブレッカー氏のサウンドに影響を受けていない現役プレイヤーはいないだろうし、
受けていない(拒絶した)にしても、その影響力は認めざるを得ないだろう。
B.Dukoff社には世界中の彼等のフォロワーから注文が殺到したのではないだろうか?(さしずめ"M.B御殿"は立ったかも知れない)
又、それらのプレイヤーを信奉するアマチュアプレイヤーには必須欠くべからざる定番アイテムとして、アルトの場合ならハリソン・ハーツのリガチヤー、Vandoren V16(もしくはLa voz)と併せて、一度は使ってみたい憧れともなっているだろう。

元来ラバー系が多いアルト用マウスピースにおいてDukoffはメタルマウスピースの代表格、とも云える。
しかしながら"どう吹いても「あの音」になる""とてもとても使いこなせない"など、性格が極端だ、と云う理由で仕舞われたままになっている事も多いだろう。
(今は渋くバッパーになっているプレイヤーが、実は昔ファズ連発のサンボーンフォロワーだった、なんて話は意外に身近にあるもんだ)
意を決して手にしてMeyerあたりの感覚で吹こうとすると最初に、あの極細くて薄いマウスピースを支えるアンブシュアのポイントが見つからない。
次に例の高いバッフルで思いっきり息の通り道が狭められて、息は入らないはリードは暴れるは、加速された息は大音量の超音波を招いてしまうし、意外に鳴らない。
あのカッコいいファズトーンからは程遠い悲惨な音が出てしまう。
テナーの場合でもオットーリンクを銜えた時の角度で吹くと偉い目に会う。リードはくっつくし、暴れまくってロクな音すら出ない。
俗に云うコントロールの難しいマウスピースの筆頭にあがるのがDukoffでは無いだろうか?
表面的な評価かもしれないが、実際それでしまってあるDukoffの総数は日本全国で100本や200本では効かないのではないかと思う?

しかしDukoff Dシリーズは実は非常に素朴な、木管的な音のするマウスピースであると思う。
慣れないうちは非常にシビアなブレスコントロールを要求されるので、特にアルトの初心者には大変難しいマウスピースとも云える。
しかしハイバッフルの部分は少なく遅い息を加速する働きがあるので、呼吸が浅かったり息圧の弱いプレイヤーが大きめの音、大きめの楽器を演奏する際には向いているのだろう。
実際かなり遅めの息を入れた方が安定するし、微妙な息遣いでもそれが音に反映する幅は広い。
音質はブライトになる傾向はあるがとても素直な丸い音がするし、その状態でそこそこのダイナミクスは出せるはずだ。
しかもかなり中身の詰まった、しっかりした芯も出る。息が音になる効率は良い。
徐々にパワーを入れて行くと、どこかのポイントで音にザラっとした金属的なエッジがでる。
しかもサブトーンにはメタリックでザラついた質感の独特の味もあり、中々どうしてJAZZYなイキフン(死語)満載だ。
オフィシャルサイトを見る限りにおいては、そもそもBobby Dukoff氏はテナープレイヤーの様なので成る程ダーク&マイルドになりがちなテナーに合う様に作ったのだろうと推測してみる。
(詳しい事は知らないし、追求・研究するつもりもない)
しかしあの細いボディは独特で、これは好きずき分かれる所だろう。

そしてこのDukoff、ある"臨界点"を超えると途端に凶暴になる。
我慢に我慢を重ねた高倉健が最後に大立ち回りをする、あの鬼気迫る勢いだ。
誰も手を付けられない程のヴォリュームとエッジを持った、その場の空気をつんざく"ささくれた"極太のサウンドが出る。
それはあのジャニス・ジョプリンのNASTYなヴォーカルさながらの存在感とも云える。
しかも独特のレゾナンスを持つヘヴィーな質感の音は他のマウスピースでは中々出し辛い。
あの細いマウスピースを支え、効率良くリードを鳴らせるアンブシュアと、絶妙のブレスコントロールが無くしてはその域までは到達出来ないのだが、「感情直結」とでも云おうか(表現の道具なので当たり前の事なのだが)「イマジネーション増幅装置」「感情加速装置」の様なニュアンスさえある。
お判り頂けるだろうか?
自分のイメージが、そのまま、では無く何倍も増幅されて音になる様な、そんな味がDukoffにはあるように思う。
その感覚は一度でも知ると病みつきになる事が多いだろう。
その上、音の"立ち"や"抜け"が圧倒的に良い。
おそらくサンボーン氏などは、大音量エレクトリック化が進む'70年代後半のバンドサウンドの中でサックスが(自分が)目立つには!?と云う大命題を抱えた中、ブリルハートLEVEL AIRに出会い、Dukoffに出会ったのだろう。
ディストーションが効いたギターとタメ張るには、これ位のパワーとキャラクターが出ないとダメだった訳だ。
そこがDukoffの最大の魅力であり、ワン・アンド・オンリーのポジションを長年保っている所以だろう。
サンボーン氏は大学でフレデリック・ヘムケ氏にアカデミックなサックスの教えを受けている。そこに起因するのか彼のトーンは非常にレンジが広く、多彩な表情を持つ。
賛否両論ある近作でも大変渋いサウンドをDukoffで聞かせてくれている。
"吠え"専門、では無いDukoffの魅力に気付いた方もおられるのではなかろうか?
(しかし一説によれば、たまたま入った田舎の楽器店で見つけて試し、「これいんじゃね?」的なノリで手に入れたのがキッカケらしい)。
又、どうやっても音が"立つ"為、アンサンブル系のプレイヤーからは敬遠される傾向にあるが(特に吹奏楽系のプレイヤーからは蛇蝎の如く嫌われる事すらある)、MJO(Manhattan Jazz Orchstra)に参加する等幅広い活動をしているクリス・ハンター氏などは、アンサンブルにソロに非常に効果的にDukoffのエッジーなサウンドを使いこなしている。

多くのプレイヤーの憧れの的になってきた訳だが、ところがこのDukoff、工業製品としてはあり得ない程非常に製品の個体差が大きく、工作精度にも著しく問題がある(これは断言しても良いはずだ!!:笑)。
あの訴訟国家で名高いアメリカで、良くこれまで作り続けられて来たかと思うと不思議ですらある。
アメリカ国内には良いものしか出回らない、なんて事はちょっと考え難い。多分非常に有能な弁護士を雇っているのだろう。
おそらく他のマウスピースの何倍もの労力を掛けて選定しなければならない。何せ番手(マウスピースの"開き"を示す番号)は殆ど当てにならない。大きいはずの"8番"よりも息の流れがスムースな"6番"もある位だ。息を吹き込む穴も真直ぐには開いていないものも多いし、その両端の"レール"と呼ばれる部分では、左右それぞれの幅が違っているものが殆どだ。
当然それは吹き心地やコントロールに大きく影響する。Dukoffを難しくさせている元凶だ。
選ぶ際には少なくとも、その店のDukoffの在庫を全てチェックする位の勢いと時間が必要で、それを数件分繰り替えし、ようやく"候補"が見つかる程度だ、と思って頂ければ良い。
いやプロの選定程厳しい選び方ではない。アマチュアレベルですらそうなのだ。
一体プロの方々で新規にDukoffを購入される方はどうやっておられるのだろうか??
(そもそもリスキーだから使わない、と云う話もあるのか??)
リガチャーやリードの選定にも非常にシビアになる。それらが持つ特徴が何倍にも増幅されて出てしまうので、マッチングを取るのは意外に難しい。
個人的にはオリジナルハリソン、BG(改造してある)をとっかえひっかえしながら、VandorenV16かZZを合わせている。

現在であれば、もっと製作精度の高いARB Metal、Beechlerもあるし(輸入も再開されたので、流通も良くなった)、Roussou Jazzもある。
Vandoren Jumbo Java、LAMBERSONなどラバー系でもハイバッフルものはあるので、無理矢理苦労をしてDukoffを吹かなくとも良い。
むしろサウンドだけ欲しいのであれば、そう云った辺りを手にする方が効率良く、又作りも比較にならない程良いのでコントローラブルだし、練習も愉しく出来る事だろう。
何より選定が楽で良い。
実際ARB Metalなどはとても吹き易い。勝田一樹氏はかつてはDukoffだったろうが、ARBになって相当経つ(ビークが低過ぎるので改造を施しているらしい)。
あの吹き易さを経験すると、Dukoffに戻れないのも判る気がする。

しかしながら自分も含めこだわっているDukoff吹きは多い。"これでないとダメ"なワン・アンド・オンリーなマウスピースだ。
誰しもにそう云ったものはある筈。しかしDukoffは"知ってしまったからにはもう戻れない"危険なものなのかも知れない。

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♪この道は、いつか来た道♪
□伊東たけしソロ作品 「HIGH BLOW」 「T.K.COVERS」 「VISIONS」 「LOVE」 色々喧しく云われてますが、何だかんだ云って彼は凄いです。 テクニックだ何だって云えば彼よりも巧い人は実際ゴマンといる訳ですが(正直な話)、彼みたく牽引力のあるプレイが出来る人っているのかな?と。 昔の方が云々って話はあるけれども、昔と同じ事やってたって意味無いでしょ?って云わんばかりにあのキャリアでどんどん攻めてるって姿勢が凄い。 当たり前だけど実際昔より確実に巧い。実... ...続きを見る
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