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zoom RSS ★Selmer S80 C☆

<<   作成日時 : 2005/04/25 11:23   >>

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サックス吹きにとっては"マウスピース"と"リード"は永遠のテーマであろう。

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このエントリーは公開から3年以上経過していますが、アーカイブ化までの間現状のまま公開致しております。
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始終そんな話で盛り上がるのは別項でつらつら述べたが、こと実際に自分のものを選ぶ際には、欲しい音色のイメージを作る所から始まり、その音を出しているプレイヤーが使っていると云う情報を仕入れたりする。

これはこれで大変な労力を要するのだが、初心者の場合「そのマウスピース(含むリード)はそう云う音をさせる為のもので、そう云う音がする様に吹かなければいけない」と云う「先入観」に捕われてしまう。そして試奏の段階から、いきなりそんな音で吹こうとしてしまうのだ。

これが大きな間違いである事に気付くには、意外に大変な発想の転換が必要になる。しかも所謂「三つ子の魂」で、何年も引きずる事も少なく無い。

事実音作りに関して、マウスピースは確かに非常に大きなファクターではあるのだが、結局"理想"とする音と演奏する現実の"自分"の折り合いをどうつけるか、の方が実は重要だったりする。マウスピースは、その結果を効率良く増幅してくれるに過ぎない。



SelmerのS80-C☆。これまで暫くサックスを吹いて来て、これ程縁の無かったマウスピースも珍しい。丸く素朴な音のするマウスピースだ。

元々エリントンで目覚め、クロスオーヴァー/フュージョンをきっかけに実際に楽器を手にする事になったが、その結果最初に自分のマウスピースとして手にしたのはMeyerと云うジャズ業界では定番のものだった。

一方、長年別な楽器を担当し吹奏楽に参加していたが、そちらの現場ではほぼ間違い無くサックスプレイヤーはSelmerのマウスピースを使っていた。こちらはどちらかと云えばクラシカルなアプローチの演奏が多く、誰もが同じ様な無個性な音で吹く。

確かに繊細で綺麗な音はしているのだが、それじゃ絶対欲求不満だべ?とスリッパで頭を叩きたくなる程デリケートな音なのだ。
しかもジャズやポップスを演奏する際にもその"無個性でデリケートな"音で演奏するものだから、背中が痒い思いをし、一緒に演奏していてたまらなくなった事もしばしば。

後年サックスにコンバートしてからは、S80-C☆を一時使っていた事もあったが"デリケート"な音がどうしても苦手な上、自分で思う「良い音」が意外に出し辛く、以降「難しいマウスピース」として"お蔵入り"し、幾分ブライトでストレートなS90に切り替えた(ジャズやポップスではDukoffやMorganを持ち込んで暴れまくり、活躍もしたが顰蹙も買った)。


サックスのマウスピースには「ティップオープニング」と呼ばれる部分がある

リードを取り付ける「テーブル」と呼ばれる平面部分の端から、「ティップ」と呼ばれる、マウスピースの先端部分にかけて、緩やかなカーブを描きながら、息を吹き込む"隙間"を形成している、その"隙間の開き方の広さ"の事を「オープニング」と呼んでいる(そのカーブの長さの事を「フェイシング」と呼ぶが、これは後述)。

ここが広いと息を沢山送り込み音量を稼ぐ事が出来るが、発音体となるリードの稼動範囲も広くなる為、ある程度以下の厚さのリードでは音程のコントロールが難しくなるし、狭ければ音程は安定するが、音量を稼ぐのは難しくなる。

口の周りの筋力や呼吸などプレイヤー各人の身体的理由や、音色、効果などの目的に合わせ様々なオープニングのマウスピースがリードと共に選ばれる事になる訳だが、数多あるマウスピースの中でもSelmer社の「S80」と云うシリーズは、オープニングは元より他の要素についても最も標準的なものとされている(そもそもSelmer社のサックスを買うと付属してくる、と云う理由もある)が、その中でも特に「C」「C☆」と云う開き(「C☆」の方が若干広い)は標準中の標準とされている。

今回クリニックを受ける機会を得て、その際のアドヴァイスに従いS80-C☆をコンディションの確認と調整に使った。
そこで指摘され改めて判ったのだが、このC☆、良く出来ている。

前述の「オープニング」が始まる部分と「ティップ」までの"長さ"を「フェイシング」と呼ぶのだが、このS80-C☆、フェイシングを含めた全体の"設計"が絶妙。非常にバランスが取れている事に気付かされた。

例の"デリケート専用"では無い、意外に多彩な色が出せる。再発見どころでは無い。目から鱗とは正にこの事だ。

基本的には音量は出し難いし、音色の幅も狭く、何より音が立たない。
しかしある"強力なアドヴァイス"に基づき演奏してみると、これが非常にコントローラブルだ。
コントローラブル、と云う事はつまり、狭いながらもその限度一杯一杯までに音量や音色のレンジを"使い切る"事が出来る。何の何のサブトーンだろうが、フラジオだろうが、ファズトーンだろうがとても楽に出る。音も立たせられるし、それまでの倍近い音量も出た。オリジナルなダーティーなトーンから、例の"デリケートな"音まで行ける。恐るべし。

これは非常に重要な事であくまで吹き手が全てのイニシアティブを取る事、を意味する。道具におんぶせず、自分でサウンドを作り上げる感覚を身につけ、加えて希望するセッティングをより深く自分のものにする事に繋がる。勿論ブレスコントロールやシラブルなど基本的な事が出来て、の上だ。

普段吹いているマウスピースに付け替えてみる。

それまでのアプローチが全て間違っていた訳では無かったはずだが、一気にレンジが広がった。相当時間を掛けて練り上げて来たセッティングが、これまでに加え更に表現のレンジが広く取れ、コントロールもし易くなった。調整の効果が出ている。

昔良く訳知り顔の先輩などに「まぁC☆をきちんと吹けるようにならないとね」などと云われ、その度心の中でスリッパを振り回していたが、今ここに来て一段も二段も深い所からそう思える様になった。

伊達に"付属"していなかった訳だ。流石にこれでビッグバンドのリードは取れないが(そこまでは音が立たない)、今後も使う事が多くあるだろう。
売らなくて良かった、と思うと同時に、適格なアドヴァイスをくれたクリニシャンに心から感謝したい。

(レッスン内容、アドヴァイスの中身について若し知りたい、とお思いになった読者がおられるなら、メアドorメールリンク付きでコメント欄に「知りたい!」旨書き込んで頂きたい。非常に優秀なレスナーを御紹介しますので、彼からのアドヴァイスで是非御自分で実際に体験なさって頂きたい。勿論有料)






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♪この道は、いつか来た道♪
□伊東たけしソロ作品 「HIGH BLOW」 「T.K.COVERS」 「VISIONS」 「LOVE」 色々喧しく云われてますが、何だかんだ云って彼は凄いです。 テクニックだ何だって云えば彼よりも巧い人は実際ゴマンといる訳ですが(正直な話)、彼みたく牽引力のあるプレイが出来る人っているのかな?と。 昔の方が云々って話はあるけれども、昔と同じ事やってたって意味無いでしょ?って云わんばかりにあのキャリアでどんどん攻めてるって姿勢が凄い。 当たり前だけど実際昔より確実に巧い。実... ...続きを見る
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